2005/12/30

ラムネ 第12話

ラムネの初回を見た時は、「どーせラブひなみたいな、主人公の男が理不尽にモテる話だろ?」と馬鹿にしていた。
ところが、回を重ねる毎に、それが間違いだという事に気付いた。
ほぼ完成形に近い、健次と七海の関係を、小さな事件を積み重ねながら、8~10話で完成形にした。
二人の間には、何者も入り込む隙も無い絆が出来上がっていた。
当然、僕はこのままラブラブチュッチュな関係で終わるはずが無い、何かしらの危機が訪れるに違いないと思っていた。
まず、七海に危機が訪れた。盲腸による緊急入院だ。(11話)
少し物足りなさを感じながらも、まあこれも一つの事件だわな、と自分を納得させていた。
が。11話のラストで健次が事故に遭った。
後を引く終わり方に、最終話が非常に気になった。
予告を見た時は、七海のシリアスな口調にただならぬ気配を感じ、健次に深刻な事態が起こったのではないかと心配した。
そして、健次の事故を知り、七海はどんな行動をとるのか、気になっていた。
これが初回から前回までの、僕の気持ちを含ませながらの感想だ。

さて今回は、事故により、意識不明の状態となった健次を、七海が毎日のように見舞いに行き、1年後、健次が意識を取り戻してHappy Endとなる話だ。
余程の事が無い限り、Happy Endで終わるのがラブコメというものだが、Happy Endに到るまでの経過をどれだけドラマティックに、カップルの心情をどれだけリアルに描けるかが肝となるのだが、ラムネは見事にそれを成し遂げたと思 う。
いくつかの感動できるポイントがあるのだが、僕が一番感動したのは、七海が健次の見舞いに付きっ切りだった為に、留年してしまった事が分かったシーンだ。

健次の意識が戻らないまま、翌年の春になる。
久々に登校した七海が教室に入ると、そこには鈴夏が居た。
鈴夏が七海に一言。
「一緒のクラスだね、鈴夏ちゃん」



七海おねえちゃんと一緒のクラスだね!
・・・これには本当にショックを受けた。

僕はショックを受けた。
よもや、七海が留年していたとは思いもよらなかったからだ。
確かに、学校を休んで健次の見舞いに行った事はそれまでの流れを見れば分かるのだが、まさか留年するほど、学校に行かなかったとは思わなかったからだ。
てっきり、放課後になってから健次を見舞っていると思っていたからだ。
描写はされていないが、七海の母親にも、健次の父親にも、鈴夏にも、七海の友達にも、教師にも、病院の医師、看護婦にも注意されただろう。
「学校に行かなきゃダメでしょ?」「このままでは留年するよ?」「健次君は、君が学校に行く事を望んでいるんじゃないかな?」等々・・・
七海はそれらの言葉を振り切って、健次の見舞いに行っていたのだ。
僕は、七海のこの行動に感動した。(本当はもっと別の言葉で言い表したいのだが、語彙が貧弱な為、「感動」の一言で終わりにしたい。己の語彙の貧弱さに腹 が立つ。)

次に感動できたのは、七海が健次の見舞いを続け、クリスマスの日に見せた涙だ。
毎日のように健次の見舞いを続ける七海。
健次の借りが溜まり続け、ついに100個になった。
健次と七海の間では、お互い貸し借りが100個になったら、言う事を聞かなければならない。
七海は健次に言った。
「起きて・・・命令・・・だよ?ねえ健ちゃん、もう100なんだよ?命令なんだよ?」



「ねえ起きて健ちゃん、おきなきゃダメなんだから」

それまで七海は健次の見舞いをしている時は、涙を見せなかった。
本当は、泣きたかったろう。
健次を揺り起こしたかっただろう。
それでも七海は我慢していたのだ。
ここぞというときに命令を聞いて貰う為、健次に小さな貸しを作っておいたのだろう。
七海としては、泣いてしまったら健次に借りを作ってしまうと思ったからだろう。
僕は、七海の気持ちを思うととても辛かった。
もう、ここで奇跡が起こって欲しいと、本気で思った。

七海の一途に健次を想う行動に、僕は感動しっ放しだった。
風鈴の音で健次が目覚めるシーンは、奇跡の一言なのだが、これはもう問題ない。
それまでの七海の人生を棒に振ってしまいかねない行動で十分なのだ。
saitaさんの言葉を借りてしまうが、
> 僕は、「奇跡とはキャラクター達の苦労と引き換えに起こるもの」だと考えてます。
> 奇跡が起こる時には、苦労と言う対価があってこそ感動ができるのです。
アニメ批評空間 ふしぎ星の☆ふたご姫・39話より引用)
これに尽きる。
そしてラストシーン。
海辺で、元気になった健次と七海が一緒にラムネを飲む。



健次よ、元気になって良かったな。
七海よ、健次が元気になって良かったな。

もう、何も言う事は無い。
僕の中では、健次と七海は死ぬまで、いや、死んでも一緒に幸せになっているに違いない。


重ねて書くが、本当に最初の頃は馬鹿にしていた。
「あーあー。またしょーもないアニメが始まったよー」
不幸にも、ラムネの前にDCSSが放映されており、それがまた前作同様、どうしようもないアニメだったのだ。(感想は書いていないが、ボケ-っと見てい た)
それが、上記の感想のように健次と七海の二人に感情移入して、二人の仲を応援してしまうまでに変化してしまったのだ。
そして最後まで気を抜く事無く、真剣に作品を作っていった。
僕の中では、今年見た1クールアニメの中で、一番の出来だと思う。
良かった。
ラムネを見続けて、本当に良かった。

パズドラクロス 第87話「光の潰える時」

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